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コテンラジオ「資本主義」テーマ回備忘メモと所感③

こんにちは。
最近これからどう生きていけばいのか?
という疑問を日々ふんわりと抱いています。
 
そんな中で愛聴するコテンラジオにて「資本主義」というテーマが取り上げられたので、自分の理解のために内容・所感を記事にします。

 

今回のテーマの構成

 
本ブログでは第二回の内容の備忘メモと所感を記します。
自分で腹落ちするところまで理解したい・そのための整理として&聞き流すのはもったいないので・・
ポッドキャストの概要欄によく見たらトピックは列挙されていたため参照しながら整理させていただきました。
 
今回は書籍の紹介がメインで、こちらに今回のテーマの参考文献がまとまっています。

第3回 ポスト資本主義で唱えられていること の内容 備忘メモ

ポスト資本主義概要  ~ポスト資本主義の否定
  • ポスト資本主義は、金融資本主義(マネーゲーム)を基本的には否定
  • 金融商品が成り立ったかどうかは後になってわかる(融資)
  • 2回目とのつながり。新自由主義国の機能を最低限まで絞って市場経済を回した方が万事うまくいく)において、政府が介入を弱めた結果、規制緩和金融商品・投機が成り立つ
  • ポスト資本主義が持つ課題感で大きいもの:環境問題→環境問題はすでにタイムリミットが近づいている(世の中にはそれを認めてない論を持つ人もいるが)
  • ポスト資本主義の中には、資本主義自体はもっと効率的になれる、という論もある。(クラファンとか)
  • 総括すると、ポスト資本主義は、金融資本主義に対しては全面に否定的だが、”環境問題””心の問題”といったその他の課題に対しては個々のスタンスがある。

 

  • そのほかのポスト資本主義をとらえるにあたっての軸
    •  ローカル軸の有無
    • 資本主義をそのまま残すのか、否か
      • 論によって、資本主義の扱い方はグラデーション。
      • ”壊してしまえ”という論調から、”我々の生活をよくしてくれたのだから、資本主義は残しつつ新しいものを作っていけばいい”というものまで。
      • ベーシックインカムの導入有無などは意見が分かれる
    • 私有財産をどう扱うか?
      • 共有財産を新しく作ったらいいのではという論も
    • 資本主義を抜本的に解決するのか、暫時的に解決していくのか?

 

ポスト資本主義 各論の紹介

1.原丈人『公益』資本主義 英米型資本主義の終焉
  • 会社は株主の物である、ということを否定。会社は株主だけでなく取引先や社員・その家族といった、社会に所属するすべてのステークホルダーに利益があるように経営をするべき
  • 株式会社は社会の公器である。公器の概念がないから本質を失った挙動をする。
  • 経営の目的が、時価のつり上げになってしまっている。
  • 資本主義は実態経済を豊かにするべきだが、資本主義だとそれができないインセンティブ設計になっている。→これに対して「公益資本主義」を提唱
  • 合理的・経済的・中長期的に考えて、「公益資本主義」の方が「株主資本主義」よりも儲かる。
  • 具体的な取り組み
    • 投資方針:短期的な投資→ペナルティ/中長期的な投資:推奨
    • 社中分配:利益を株主だけでなく、会社を支える社員全体に公平に配分→社会の格差是正
    • 起業家精神
    • 企業価値のはかり方:①富の分配の方法、②経営の持続性、③事業の改善・イノベーションにどのくらい取り組んでいるか
  • 実現するためのあったらいいルール
    • 会社が公の器であること、経営者はその公器に従事する人間であるという責任を明確にする
    • 中長期株主を重視、短期株主は排除
    • 株式を保有した期間により売却税率を変える
    • ストックオプション撤廃
    • 四半期決算やめる
    • 社外取締役は「企業価値のはかり方」に記載した観点で会社を見る

 

  • (以下、自身の所感)今後のあり方としては正しいと思うが、転換をどう行っていくのか。個社ごとに取り組んでいく際に本当に株主がついてくるのか、実施するとなると社会実験的になりそう。実験を自社で行う会社がどれくらいあるのか。
  • 一度実験が成功すれば、肯定的な見方も増えるだろうが。まさにOSとのせめぎあいだ。
2.柳澤太輔「鎌倉資本主義
  • 経済成長は否定しないが、GDPという単一の指標を追い求めている
  • 短期を追い求めた結果、持続的成長ができない状況も現出
  • 3つの資本があり、これらをバランスとって伸ばしていくのがいいのでは
    • ①地域経済資本
    • ②地域社会資本:誰とどのようにつながっているかも資本・価値として捉える
    • ③地域環境資本:自分たちを取り巻く環境を資本としてカウントする
  • 地域のステークホルダーが協力して取り組むと、地域の人たちは幸せになる

 

3.藻谷浩介「里山資本主義
  • お金に依存しないサブシステム・セーフティーネットを作り、持続可能な豊かな暮らしを実現することができるのではないか、という考え方
  • 現状、生活のための物資を遠くからコストをかけて仕入れている状態。林業に重きを置いて里山を活用していったら、かなりコストが下がるはず。
  • 近いところで水・食料・燃料を調達してコストがかからない生活をしていったらいいのでは。
  • 原始人に戻れというわけではなく、資本主義とのハイブリッドを目指す
  • 物々交換の復活、規模の経済の否定
  • 市場経済が人間の生活基盤を壊した、という論の延長戦として捉えることができる

 

  • (以下、自身の所感)自身は都会育ちだが、地方の父母の実家に行くと、地元のコミュニティの存在と物の循環が強くこういう生き方いいな、と感じることがある。
  • その心地よさの延長線上で生きることができる、ということであればいいな、と感じた。人間的な生活になりそう。(今が人間的でないと感じているということか・・)

 

4.マイケル・ハート、アントニオ・ネグリ「帝国」
  • 資本主義は、公共財(入会地等、コモンズ)を私的所有に移し替えることを強制する。
  • 本来はコモンズを市民が民主的に共有管理すればいいのではないか
  • このコモンズの管理を行う社会が本当の意味でのコミュニズム共産主義。(中央集権的に計画経済をすることではないのでは)

 

  • (以下、個人の所感)コモンズ、は共産主義の言葉?意味合いを正しく理解するために調べてみたい。
5.広井良典ポスト資本主義
  • 人類の歴史を大きく俯瞰すると、人口や経済規模の拡大と成長の時代と停滞の時代が交互に起こっている。
    • 1回目:狩猟採集時代→自然信仰・心のビックバン
    • 2回目:農耕開始→普遍的真理の追求・知の爆発
    • 3回目:産業革命以降→現代はここで停滞中
  • 真の豊かさ・発展に関する新たな指標・コンセプトの根本的な見直しが求められる
  • 部分的なベーシックインカムを提唱

 

  • (以下、自身の所感)拡大と停滞を繰り返すという捉え方が面白い。まさにパラダイムシフトの中に自分がいると捉えると、面白くもあり恐ろしくもある。
  • 後からこの時代がどう捉えられるのか。そんな観点で俯瞰して考えると楽しそう。
  • 個人の観点では、俯瞰したときにこのような時代の動き・枠組みの中にいると理解したうえで、停滞・不安定な状態だからこそ、自分で考えいろいろ試行しないと、と思う。
6.ポール・メイソン「ポスト・キャピタリズム
  • 情報技術産業はほぼすべての物を0円にするが、これは市場主義経済と相いれない
  • 資本主義は適応能力が高い柔軟なシステムだが、情報技術の登場には適応できないのでは。
  • 今まで自分たちがやってきたことは利潤の搾り取りである。国内では労働者から搾り取り、国外では発展途上国から搾り取り、一か所に集める。
  • 経済成長はイノベーションが起きたときにしか起きない、技術革新が起きるとその技術革新によって利潤がもたらされる。
  • 直近では情報技術。ただし、情報技術はすべての物を0円にするという能力があるので資本主義と相容れない。が、うまいこと組み合わせないといけない
  • この社会でのロールモデルは、”別々の知識を組み合わせ、イノベーションを起こせる人”。ネットワーク化されて皆がスマートフォンを持つ世界では誰でもなれる。
  • 現在は情報の恩恵をGAFAが0円にならないようにしている。これは情報技術の能力と逆行している。0円にしていくべき。

 

  • (以下、自身の所感)この立脚点に立つと、現代はいびつな構造なんだなと理解。
  • 0円を実現するためにはGAFAより強い存在が現状の構造をぶっ壊さないといけない。それができるのか。
  • OSSみたいな世界観がより広がる感じなのかな。

 

7.セルジュ・ラトゥーシュ脱成長
  • 成長は2つの欺瞞をはらんでいる。抽象的な経済成長というのは宗教化したものである。
  • 資本の生産性は、植物の成長と同一視されているがそうではない。資本主義社会での再生産は利子率と経済成長率を自然界の生殖能力・回復力と同じに扱っているがそうではない。
  • 政治的スローガンであり、経済成長を崇拝しない態度のことを脱成長という。政治的にこの脱成長を進める。
  • 環境問題的にも維持が不可能な状態

 

  • 不平等と不正義の拡大を生じさせている。マネーゲーム
  • 偽りの豊かさを生み出している。
  • 資本主義が富裕層自身にとって生活環境を作らず反社会的な状況に追い込む。市場経済が生活を破壊する。

 

  • 経済成長を目指すのをやめるべき(マイナス成長を目指すわけでも、経済成長が起こらないと言っているわけでもない)
  • この思想に移行するためには抜本的に変えていかないといけない。

 

  • (以下、自身の所感)考え方はべき論的にはわかるが、自身を振り返ると、じゃあ今株式投資している確定拠出年金やNISAの利率が下がるのかしらと考えてしまう資本主義人間、ということを再自覚・・・
  • 抜本的に変える必要がある、は確かにそうで、日々の思想・過ごし方・購買行動等すべてにかかわってくる。まさにOSレイヤの話で変えるのには時間がかかるが、そうすると環境問題等喫緊の課題に間に合うのか?
8.廣田尚久「共存主義論 ポスト資本主義の見取り図
  • 問題意識3つ
    • 資本主義はそもそもの基盤がすでに揺らいでおり崩壊している
    • 資本主義に組み込まれた”先取をする”という概念が悲惨な事態を引き起こす。融資等。確率論的にリスクがあるがそのリスク・バグを資本主義は内包し続ける
    • 現代に生じる課題に取り組むには資本主義では対応できない。インセンティブが儲かることにしかかからない。(例:環境問題は資本主義では解決できない)
  • 埋め込まれた”先取り”は、資本主義に内包される病理現象。バブルが発生したときに人々は”病気になっている”と捉えるが、そうではなく、”先取り”を内包し常に病気の状態。
  • 個人であれば住宅ローンがこれにあたる。将来の所得をあてにして組んでいるが、将来が不確実な状態なのに。返済のために躍起にならないといけない。そのために自由を失っている。

 

  • このようにすでに崩壊しているにもかかわらず、なぜ資本主義の次に移行していかないのか?
  • 次の社会の展望がわからないから移行できない。
  • 「共存主義」を提唱。私的所有だけではなく共有的所有=総有という所有形態があった方がよいのでは。
  • 総有:共有して資産を保有し、ある特定のコミュニティが自らの意思で共有する。そのうちの誰か一人がその権利を他人に売るということができない、という持ち方。

 

  • (以下、自身の所感)「先取り」が資本主義の中の問題点という捉え方が面白い。日本は高度成長期に、ローンで家を買って働き続けて返済する、というのが一般的な人生、みたいな考え方が広まったと考えているが、まさに資本主義的なフレームワークだったんだなと理解
  • 未来を予測してそこにベッドすることは会社でも社会でも個人でも当然に行われているが、それがNGなのだというのは衝撃的な考え方。
  • リスクを取らないとリターンもない、それをいい塩梅でやっていくこと(これが株式の仕組みなのか)が必要なんだと、当然のことだと思っていたが・・
  • 総有は心地よさそうではあるが、実現方法・コミュニティ次第か。果たして現実的なのか。

 

9.デヴィッド・グレーバー「ブルシット・ジョブ
  • ケインズは、週15時間労働で足りる世界がいずれ来る、と提唱したが来ていない。なぜか?生産性は上がったはずなのになぜ。
  • みんなが”クソみたいな仕事”を生み出しているから。
  • 労働に対する対価。再分配をするためだけにブルシットな仕事をみんなするようになった。
  • ベーシックインカムを導入したらいいのでは。

 

10.山口周「ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す
  • 一言で言うと、「物質基盤の充足と成長限界に伴ってその役目を終えつつある資本主義に対して、個々人がヒューマニティを持って参画することで、その仕組みをハックして社会をより良いものに変えていこう」
  • 私たちの社会は、明るく開けた高原社会に軟着陸しつつある。(物質的不足の課題は解消しつつある。緩やかに上昇を低下させている現在の状態)
  • 現状を低成長・停滞・衰退という言葉で表現されるが、このようなネガティブな言葉で表現するのは不適切。ポジティブに捉えてよい。
  • 9世紀半ば以降私たちが苛まれ続けてきた、無限の上昇拡大成長という脅迫から解放された社会をどのようにしてより豊かで瑞々しいものにするかを構想して活動するということが次の使命になる。
  • エコノミー(経済性)にヒューマニティ(人間性の原理)を取り戻す。人間性を稼働ロジックとして埋め込む。=人間性・喜怒哀楽に根差した労働と消費を行う。
  • 未来のために、今を犠牲→→永遠に循環する・自己充足的な行動様式
  • ”持続可能性”ではなく、”循環”することが大切。

 

  • 誰もが夢中になれる仕事を探した方がいい、そのためにはベーシックインカムが大切。
  • 自分の衝動に気づいて行動して仲間と一緒に働いて価値を出すことができる人材を育成するための教育制度に刷新すべき。
  • 制度の見直しのために税制度を高負担高福祉型に。
  • (自身の所感)最後の山口周さんの考え方はポジティブで受け入れたくなるが、果たして実生活に戻った時にどのように実践していくか。税制改革などの政策とともに緩やかに行われるのだろうが、それ等が実現していない中で個人が循環型をイメージしてポジティブに生きるとギャップが生じるのでは。

所感

  • 多くの切り口で語られる思想になるほどと感じる、様々な立脚点があり視点移動自体が勉強になる
  • これってどういうことだ?という疑問もたくさん浮かんだので、まずは原著を読んでみたい。とりあえず「里山資本主義」を入手。外出自粛にかこつけて読みます。

 

  • ポスト資本主義論の中登場する考え方の中に、コモンズ・共有財産があるが、これらは資本主義に相対する社会主義共産主義の言葉。
  • ただ、社会主義共産主義の違いって何?といったことが自分の中で理解できていなかったためGoogle先生に質問。
  • こちらのサイトがわかりやすかったです。前回の話と同様、人々の思考実験がされている、その知見のもとに自分は活かされているのだなと実感。
    • まとめだけ抜粋すると
  • 社会主義は資本主義の弊害に反対し、より平等で公正な社会を目指す運動や思想
  • 共産主義は、生産手段や資本・財産の社会的共有と管理を目指した思想・体制
  • 共産主義社会主義思想の中の1つの思想
  • 歴史的な推移を見ると共産主義社会主義の違いは曖昧になってきている 

  • ポスト資本主義、ということで、自身のベースの考え方・OSを問い直す内容が多かった。ベースを覆す?ともとらえられ、もはやSFともいえる気がしてきた。
  • 全員の足元の思想はすぐには変わらない(であろうと考えている)まま、どのように次の時代に移行するのだろう。
  • コロナみたいに現実問題対応しないと困る、という事件やイベントが起きることによって加速度的に変わっていくのかもしれない。